毎日暑い日が続いています。確か梅雨明け宣言がされ、夏が始まったはずだったのに、毎日蒸し蒸しして湿度も高いように感じます。もしかしたら2度目の梅雨明け宣言があるかもしれませんね。
さて4月にご挨拶をしましてから、あっという間に4か月を過ぎようとしています。新型コロナウイルスの新規感染者が減り、このまま終息?・・・そんなに甘くはなかったですね。うれしくはない先取りでBA.5などという変異ウイルスの大波が島根にも安来にもやってきました。コロナ、コロナ、コロナ…感染対策にも、毎日の新規感染者数の発表に心が揺れ動されるのにも疲れてきましたね。とはいえ子どもたちの健康を守るために、引き続き感染対策を励行していきたいと思っているところです。
次回は秋におはなしさせて頂き、この度は6月も終わり頃を迎えたある日のエピソードを紹介させて頂きます。
A君の「カブトムシが欲しい」から
登園を渋っていた2歳児A君に「よし、今朝は涼しいからお外に行こう」と誘って園庭に出かけました。まだ2歳児で登園していたのが二人だったので二人とも自分たちだけと優越感が感じられる表情です。けれど虫好きなA君はすぐさま「カブトムシがほしい」と懇願。カブトムシかあ・・・、暑くなったとはいえまだ6月末、さすがにいないでしょう・・・、けれどここで大人の知識でA君の願いを真っ向から断ち切ってはいけません。まず虫取り網を持って一緒に園庭中の木を1本1本見上げながら回ります。「いないねえ~」「ここにもいないねえ」・・・ほぼ20本近い木を回りましたが見つかりません。その間にありやダンゴムシに出会いましたが、A君はカブトムシじゃないと納得いきません。どうしようかな?と思っていると、そこにあかえこども園では有名な虫大好き、虫博士のB君のお母さんが見えたではありませんか。「やった、B君が登園してきた、絶対虫かごに何か持ってる」と思い、Aくんと「ゆり組(5歳児)のお兄さんとこに行ってみよう」と一緒に行くと・・・さすが!
その日B君はコガネムシを連れていました。「おはよう、B君、今日は何を連れてきたの?」と尋ねると、「これはね,コフキコガネムシだよ」と見せてくれました。そばでA君が食い入るようにして見ています」、その表情に安堵しつつ、ドキドキしながらB君にお願いをしました。「ちょっと見せてもらっていい?」「いいよ」とすんなり見せてくれました。ケースには入っていますが、コガネムシを大人が宝石とか高価なものを見るような目でA君がジーっと見つめています。そうしているとB君がさっとケースの蓋を開けて見せてくれました。A君の虫への気持ちがB君に伝わったのでしょうか?保育士が「ちょっとだけさわってもいい?」と聞くと黙ってうなずくB君。コガネムシの背中を人差し指でちょんと触って見せるとB君もちょん、ニヤリ・・・。そうするうちに他の大きい子どもたちもB君の周りにコガネムシを見にやってきて、虫談議が始まったのでA君はハッと我に返り「虫探す」とその場を離れました。再び虫探しです。すると藤棚になんと大きなカミキリムシが・・・、保育士の方が立派なカミキリムシに大興奮。すぐに網で捕まえ、A君の持つ蓋つきバケツへ移しました。カブトムシではないけれどありやダンゴムシよりカブトムシにちかいかな?けれどふと見るとA君の表情が微妙だったので気になりました。カミキリムシをつかまえた騒ぎはすぐに大きい年齢の子どもたちに伝わりA君の周りに子どもたちが・・・。カミキリムシを囲んで大きい子どもたち同士でカミキリムシ談議でにぎやかです。しばらくしてA君の周りにいた子どもたちがそれぞれに散って行きました。A君に「カミキリムシ、バケツの中でどうしてる?」と尋ねると、A君が満足気に蓋にしていた皿を取って見せてくれると、なんとそこにはコガネムシが二匹!!!・・・
「え?」驚く保育者にそばにいたC君(ゆり組)がD君(ゆり組)が「コガネムシとかえてくれ」って言ったからだよ」と説明してくれました。A君に「コガネムシが良かったの?」と聞くと笑顔でニヤリ、首を縦に振りました。「そっか、A君がいいならいっか」・・・・・。
5歳児のコガネムシと2歳児のカミキリムシの交換がすんなり進んでいく・・・B君が見せてくれたコガネムシの存在がA君には大きかったのでしょうか?カブトムシが欲しくてあんなに探したのに・・それともカミキリムシでどうか我慢してくれという保育者の下心が伝わってしまったのでしょうか?幼くとも子どもの気持ちはいろいろ繋がっていて、大人の当たり前の概念をこわします。だから子どもの世界はおもしろいのです。
・・・あれ?私も子どもだったはずなのに・・・